phoque's word

鶴は千年、亀は万年、シーラカンスは二億年。

最近読んだ本の話とか。

時々、ものすごく小説というのを読みたくなることがあるんですよね。去年の秋に「怒り」を読んで、今年は「悪人」を読んだりしてたわけですが(ちなみにこれどっちもすごく面白かったんですけど、特に「怒り」のほうはあんまり他人にすすめられない)。

この春以降読んだ本をいくつか。

イノセント・デイズ(早見和眞)

多分最近読んだ中で一番おもしろかったのこれ。救いのない話なんだけど。でもって、途中で真相はある程度見えてしまうのだけど。止まらなくて一気に読む、というのは久しぶりでした。

子どものころから必要とされなかった、と思いながら生きてきた主人公の少女は、初めて自分を必要としてくれたと思った相手から捨てられ、執着してストーカー化する。その相手の妻と子供が焼死した事件の放火殺人犯として死刑判決を受け、死刑が執行される話。彼女をとりまく何人かの彼女とのかかわりから見えてくる彼女の本当の姿、とか、そういう感じ。

結構映画的というか、なんとなくイタリア映画にありそうな感じのストーリーです。まあ、読んでみてくださいとしか言えないです。

 

次、

長い長い殺人宮部みゆき

これは、うーん。多分ですがあたしが過去読んだ宮部みゆきの中で一番つまらなかった。ある連続殺人事件をその関係者の財布の目から語らせるというトリッキーなオハナシなんですが、それが成功してるかというとですね、いや普通に書いた方が絶対よかったと思う。特に、財布の女言葉がわざとらしくて読むに耐えないレベルでひどい。(ストーリー面白くても言葉づかいとか読点とかにひっかかって読みづらいと評価ダダ下がりするのは私だけじゃないと思う)ちょっとこれはね、読んで後悔しました。

 

でもって、

リバース(湊かなえ

この人の小説は前にも読んでるんだけど、それと比べてもこれは格段に面白かったです。ちょうど今ドラマやってるんですけど、なんというか良質な青春小鉄な感じ。いやもちろんミステリー要素はあるわけなんですが、そして結末が結構重いものだったりするのですが(叙述トリックではなくこれ、というのはなかなかによく練られた話だと思う)

大学のゼミの同期でバーベキューに行った際、一人遅れて合流するヤツのために多少アルコールの入った状態で車を運転した友人が崖から転落死。酒を飲んだ人間に運転させたことが知られると自分たちの将来にも差し障るということで同期は秘密を共有する。その後それぞれが別の道を歩き始めたが、事故のことを非難する手紙だの張り紙だのがそれぞれのところに届けられる。主人公はその真相を探る、というよりは自分が死んだ友人と本当に友達だったのか、という思いから友人の人物像を調べ始める。みたいな感じなわけですが。

これ、とにかく結末なんかより、「自分が相手を大事に思うほど相手は自分のことを友達だと思っているのだろうか」というその問いがメインだと思います。そして、主人公の彼女もまた、同じ思いを抱えていた、と。まあ、であるがゆえに結末が一層重いものになっているともいえるんですが。

 

ま、そんな感じです。