phoque's word

鶴は千年、亀は万年、シーラカンスは二億年。

ふたりの女王のこと。

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浅田真央の引退にかこつけて、安藤美姫をdisるこんな記事が出ている。

自分が個人的に安藤美姫のファンだったので、なんかとてもハラを立ててしまった。

 

浅田真央が引退して日本中が「真央ちゃんお疲れ様」ムードになっている時に水を差すようなことをあえていえば、浅田真央は「傑出したスケーター」ではあっても、なんというか、「圧倒的な強さ」を持った「女王」だったことはなかったような気がする。それにはもちろん、キム・ヨナという傑出したスケーター、しかも「圧倒的な強さ」を持った「女王」と同じ時代を闘っていた、ということもあるのだろうけれど、なんだろうそれだけでなく、私たちはというと主語が大きくなりすぎるが、少なくとも私はいつも、トリプルアクセルが成功するかしないかハラハラしながら彼女の演技を見てきた、と思う。本当に個人的な印象で、言いがかりに近いことになってしまうけれど、常にいちかばちかのトリプルアクセル頼みのプログラムで、たまたま成功したか、自分が失敗しても他の人がもっとダメだった結果の優勝、だったような印象が残っている。

それに対して、安藤美姫。彼女も一時期は成功率の低い4回転に挑む、と言いながらも結局挑まない「4回転飛ぶ飛ぶ詐欺」とか言われていたけれど、2度の世界選手権優勝は、どちらも、4回転なしでも「圧倒的な強さ」で勝ったと思う。肩の脱臼でビールマンスピンができない、4回転も実戦で使えるレベルではない、という状況で、それでも優勝できるだけの点数の取れるプログラムを作り、それをハイレベルで演じた結果だと考えると、安藤美姫の評価が浅田真央より格段に低いかに言われるのは、本当に納得がいかない。

結局、浅田真央age安藤美姫sageを言っている人たちの多くは、フィギュアスケートをスポーツ競技ではなく、アイドルを鑑賞するような目で見ているのだと思う。だから清純さであるとか、あるいはハラハラさせる部分(これはアスリートにとっては本来マイナス要素であるはず)までもがプラスの評価につながっている。それって実は、安藤美姫にも浅田真央にも、ものすごく失礼なことではないのだろうか、と思ったりするわけですよ。